雪とバイク

朝、目覚めると外は深夜からの雪でしっかりと白くなっていた。


スタットレス仕様の母親の車で出社しようとすると雪かきをしていた母親に、


「今日車使うから自分の車で行きなさい。」


と言われた。


母さん、あてんぞう(愛車の名前)はノーマルタイヤだよ。
しかも18インチの扁平だよ。滑って危ないよ。事故っちゃうよ。
仕方がないのでバイクにまたがる。
バイクならいざってときには押して歩けばいいと考えた。


すると母親が、


「バイクは危ないから車で行きなさい!」


と言う。
危なさはどちらも同じ。車だと滑って身動きとれなくなったら大変だ。



母親が騒ぐので、向いのB家のおじさんが窓をガラっと開けて、


「バイクは危ないぞ〜」


と言う。


なんだか遠い昔、初詣に薄着(当時のお気に入りのカッコ)で出掛けようとして、「カッコつけてないでもっと厚着して行きなさい!」と母親に玄関で注意されたことを思い出した。
そのときは、「大丈夫だよ!」とそのまま出掛けた。神社での凍えるような寒さの中、母親の言う事を素直に聞けばよかったと深く後悔した。


歴史に学べない僕はこの日も強硬にバイクで出社した。
途中何度も滑り転倒しそうになったが、右左折を少なく、坂道を通らないルートを選んだりしなんとか無事に出社できた。