そういえばアイツの目つき・・・

keiyo2006-08-08

あるコラムをコピペ。
昔から好きな選手、スペインのFWラウルに関しての。


虎の目-ラウル・ゴンサレスは死んだのか-
 
 
「かつての神通力が失われた。もはや新エースを探すべきなのでは」

エースに対する不要論が初めて沸き立ったのは、EURO2004を控えた春のことだった。
以前のようにゴールを決めることができなくなったレアル・マドリーのナンバー7は厳しく糾弾されていた。
ただ、所属クラブでは中盤で起用されることも多かったのもたしかで、
周囲の選手たちが「絶対的な選手。批判なんてばかばかしい」と取り合わず、
当時の代表監督だったサエスが「彼と心中する」と公言したことにより、不要論の矛先は緩まっていった。
しかし、エースは期待されたEURO2004で不振を極めた。ノーゴール。
スペインはグループリーグで敗退する醜態を晒すことになった。 



■泥をすすってゴールを奪う 

17才で名門マドリーでデビューしてから10年。
その体はもはやボロボロと言われる。
EURO2004を跨いだ2シーズン、ゴール数は11、9とかつて20点台を稼いでいた時期と比べて半分に落ち込んだ。
「ゴールから遠いポジションで仕事することもあったから」という言い訳は、EUROから2年後、
「中盤に下がるのもゴールゲッターとしての能力が落ちた帰結」と解釈されつつある。

そのキャリアは残酷な下降線を描く。
ラウル・ゴンサレスは死んだのか。
「ラウルはピッチでファイトしてその地位を勝ち取ってきた。私もそれは認めている」。
EURO2004後に代表監督に就任したルイス・アラゴネスは言い、落ち目のエースを見捨てていない。
「あいつは虎の目をしているんだ。ピッチで絶対に死なない」。
瀕死の状態になっても相手を噛み殺すというのか。

たしかに背番号7は、チームがどんなに劣勢でも勝つことを諦めない。
必死にボールをチェイスし、相手に食らいつく。
そうしているうちに、なぜか彼の目の前にイージーなボールが転がってくる。
それをゴールネットに押し込めばいい。
だからそのプレーは華麗でもなんでもなく、むしろ不格好だ。
靴底がすり減るほどにボールを追い、それでこぼれ球をシュートする。
もっと優雅なFWは世界中にいるだろう。
だがラウルのように泥をすすって、ゴールを奪えるFWはいない。

「ゴールの嗅覚」。
彼の異能をそう説明することは簡単だが、本人は鼻で笑うだろう。
「鼻を利かせるために、オレがどれだけのことをやっているのか知っているのか」と。 



■異常だったゴールへの強迫観念 

彼はマドリー郊外の貧民街に生まれた。
ストリートでフットボールに興じながら、
いつかスポットライトの当たる場所でプレーしたいと願う、どこにでもいる子どもだった。
ただ、成功欲は両親も持て余すほどだったと言う。
11才でアトレティコ・マドリーにスカウトされたときのことだ。
「大きなクラブでプレーするのは早い。家から近いクラブでやって勉強しろ」。
親からは諭されたが、彼はキッパリとした口調で言い放った。
「僕は世界で一番の選手になるんだ。悠長なことは言っていられないよ」。
彼はそれから狂ったようにゴールを記録した。
ダブルハットトリックをしてもゴールすることに飽きず、ゴールしたボールを持って相手にキックオフを急かす。
ゴールへの強迫観念は異常だった。
スペインジュニアナンバー1を決める大会では、他のチームが遠足に出掛けているときに、
「そんなことより優勝しようぜ」と彼は言い、チームメイトに「マッサージをしてくれ」とせがみ、
「代わりにおまえの足も揉んでやるからよ」と笑った。 



■虎は手負いの時こそ獰猛さを発揮する 

ラウルのゴールへの執念はいかに育まれたのか。
彼の育った場所がお互いの顔色を窺いながら生きる貧しい街だったのはたしかだ。
彼の父親は電気工だったが、小さな会社は簡単に潰れ、しばらく職を失い、一時家族は路頭に迷っている。
生活は豊かではなかった。
彼のゴールが決して品のいいものではなく、
野卑な側面さえも称えられているのはそういう背景があるのかもしれない。
もちろん、貧しさだけが理由ではないが、環境は生来の本性を目覚めさせたのではないか。
「少しでも目を離せばやられる」。
その目でにらまれたDFは戦慄を覚えるのだと言う。
そこにある獰猛で目ざとい輝きに。
何か鳥肌が立つような悪い予感が襲う。虎の目。
それは得体の知れないもので、単純にスピードやパワーのある選手が放つ怖さとは異なる。
アラゴネス監督が虎の目の意味を熱っぽく語る。
「彼の力は疑問視されているが、
W杯予選を占うセルビア・モンテネグロ戦でゴールを決めたのは誰だか覚えているか?
プレッシャーのかかる一戦。彼だけが、敢然と相手に立ち向かっていた。
いつも自分のことよりもチームのことを考え、勝利のために体を擲(なげう)つ。
そして状況に屈しない。私はそれを評価している。だからW杯には連れていく」
本大会で29才を迎えるエースはいかなる覚悟でドイツのピッチに立つのか。
年末にひざを負傷し、不屈の闘志で戦列には戻ってきたが、
ベンチに座る時間帯も多く、試合勘が戻るには時間がかかる。
「もうダメだ」。その声はさらに強まる。
今季リーグではわずか5得点。
定石通りに行けば、彼はもう死んだ選手なのかもしれない。
しかし、虎は手負いの時こそ恐るべき獰猛さを発揮すると言う。
その眼が死んでいなければ……。



シュタディオンは呼吸する by 小宮良之 より






虎の目か・・・、








そういえば、








オレも見たことがある・・・、








麻雀やっているときのmasaの目だ!